戦国大名の存在

戦国期に在地の小領主は、戦国大名の勢力下に入り集団安全保障体制に
組み込まれる形をとる。
この戦国大名の枠組みに入ることは、纏めると4つのメリットが存在しているのである。

第一は、その盟主とする戦国大名に滅ぼされない点である。
盟主の軍事動員などの命令を聞くことでその規模にあった働きを提供し、
とりあえず滅ぼされることは回避できる。

 
第二は、後詰の保証である。
その戦国大名の境界近くでは外部勢力が侵攻する。
在地衆の単独抵抗には限界があり、盟主は勢力範囲の中小領主を動員し、
後詰をして外敵を駆逐してもらえる。

 
第三は、争いの裁定をもらえる点である
小領主間の争いを軍事的解決ではなく、盟主の裁定で解決できる。
盟主の裁定が多少不利でも、軍事的緊張によるロスを考えると平和的解決方法に
メリットがある。

 
第四は、勝ち組参加での恩賞期待である。
盟主が他に侵攻し領域拡大に成功した場合、その働きによって恩賞がもらえる。

古くから各地に勢力を根付かせていた中小領主にとって、戦国大名の配下に付くのは、
以上の4つのメリットがあるためである。
特に第一と第二のメリットがなくなると参加意味はなくなる。
見方を変えると、どの様な出自であれ、この第一と第二を発揮できる軍事集団は、
戦国大名に成長できるのである。

(朝日新聞社『中世の城と合戦』95年7月に掲載より抜粋、加筆)

©Hisao Fujii